「入院してください」
次の日の朝、母に付き添われながら精神科に行きました。
人生で初めての精神科です。
そこでの先生の言葉ははっきりと覚えています。
「入院してください。
人が死ぬ時は一瞬です。」
ここまではっきり言われたにも関わらず、今まで約28年、健康体がとりえで生きてきた私は、「大丈夫です。上の子たちもいるから。帰ります。」と言い切ります。
自分がそんなに重い病気なわけがない。
薬を貰って、しばらく休めばなんとかなる。
そう思っていたのです。
今思えば、うつ病の急性期の人間が正しい判断などできなかったのです。
その日は「明後日の予約まで24時間、母と旦那が見張る」
という条件で薬をもらって帰りました。
「お願いだから病院行こう」
もらった薬を飲みましたが、起きていられないほど薬が強すぎたことと、薬が抜ける頃にとてつもなく強い焦燥感に襲われます。
「精神科の薬なんて怖いから飲めない!」とその日の就寝前分から飲むことを拒絶しました。
次の日、早く仕事を切り上げてくれた旦那。
少し気分転換しようと緑の多い公園に連れて行ってくれました。
歩き出したものの「この景色を旦那と見るのは最後だ」と、私の中で確信のようなものがありました。
もう私の人生は終わりなんだなと、死期が迫ってくる感覚でした。
不思議と悲しくはないのです。
ただただ死のうという感覚だけ。
公園のまわりを半分ほど歩いたところで、
「今までありがとう」
「わたしはもう無理だから。死のうと思ってる」
「結婚してくれて、可愛い子どもたちを産ませてくれて、本当にありがとう」
「子どもたちのことをお願い」
旦那にそう告げました。
「しっかりして!!死ぬなんていうな!戻ってこい!!」泣いた旦那の言葉さえも響きません。
「本当にごめん。でも病院行こう。嫌って言われても入院させるしかないんだ。本当にごめんな。」
と、言った旦那は病院に向かって車を走らせます。
車内でも病院についてからも
「なんで入院させるの?」
「もうこれ以上苦しみたくないの」
とひたすらに訴えていました。
そのたびに旦那は「ごめんな」と泣いていました。
この時の私はもう待合スペースで待ってることもできません。
ベッドに横にならせてもらい、カーテンで閉めてもらい、先生を待ちます。
ここから私の閉鎖病棟での生活が始まります。